大阪フィル 平日午後の名曲セレクション マチネ・シンフォニーVol.16

2016.11.16
大阪府 : ザ・シンフォニーホール
午後 2時開演(午後 1時開場)

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チャイコフスキー:
ピアノ協奏曲第2番 ト長調 作品44/アレクセイ・ヴォロディン[Pf]
交響曲第5番 ホ短調 作品64

チケット: Vol.15・16 2公演セット券:A席6,000円 B席4,000円
Vol.16 1回券:A席4,000円(3,600円) B席3,000円(2,700円)
※未就学児入場不可
※(  )内の料金は大阪フィル・会員価格
演奏会お問い合わせ先: 大阪フィル・チケットセンター TEL:06-6656-4890

【道義より】

アレクセイ ヴォロディンといっても、誰も知らないだろう、チャイコフスキーの2番のコンチェルト
と言っても殆んどの人は???だろう。素晴らしいロシア風ピアニズムを持った38歳で、顔もいい。
長い目で見ればスビアトフ・リヒテル、ラザールベルマン、等の大きなスケールを持つ後継者だ。
ウジァワン、ランラン系が好きになれない人には超魅力的だろう。この「2番」は彼がこれから世界中で
弾いていくべき作品で(今回彼は初めてだった)いわゆるロシアの土着性を強く湛え、
欧米風な洗練に背を向けたムソルグスキー風作品。
オーケストラも今日の大フィルのような音色と狂熱が必要で勿論!ホールも皆が囲むワインヤードが向いていよう。
チェロの、ハナサキ、バイオリンの、チェのトーンをホールが支えてくれた。
会館の外は今工事ばかりでなんとも殺風景だが、中は真に熱いロシアの匂と肌触りで満たされた!
僕は、ピアノの蓋の裏での仕事を終えて彼のアンコール(くるみ割り人形のグランパドドウーの場面のピアノアレンジ)
を袖で聴いたが、一生忘れないぜ(...あと20年?)
あの美しいバレエの情景が目の当たりに感じられる弾き方!オーケストラのような豊かなピアノ奏法、に
「僕がピアニストだったらああいう風になっていたぞ!」と、勝手なイメージを描く始末。
でもなあ・・・あのふくよかで強力な身体を僕は持っていない。

交響曲5番は、フェスティバルホールでなくこのホールでこそ威力を発揮出来たと思う。(4番でなく)
チャイコフスキー生来の繊細さで彼の心が次第に棘で引っ搔いたように傷つき始め、4番ですべてを書き込んだ後、
時間が経て、多少形式的にも居ずまいの良いこの作品をしたためたのだ。
・・・・・思い返せばイノウエ20歳の桐朋の指揮科で、尾高忠明が名演を演じ、「俺にはこういう暗い繊細さと狂気をきちん
と整理して並べることは無理、出来ない!」と感じてからなんとなく避けていて、あまり積極的に振ってこなかった。
今回、練習場の合わせにくい環境では出来なかったったことが、きっと巧くいくと信じていた通り、シンフォニーホールで、
大フィルは、叫ぶことなく叫びを、崩れることなく崩れ行く作品の持つ自己不信感を、大人の音楽として表現してくれた。
前半に本物のロシアタッチがあったからオケもイメージがさらに膨らんだかと思もわれる。
今日の出来ならば以前ブログにオープンに書き留め、事務長に懇願され1日で消した、大フィル弦楽器奏者の一部、
エキストラ奏者などの、雇われ意識や、自己表現力のなさ、一部管楽器の意味のない旧態依然保守的な合奏方法等も、
最近変化していたが、今回良い形で実を結んだ演奏であった。嬉しい。
風邪をひいて危なかった体調も治り、からりとした天気の秋晴れフルムーンの午後だった。

実は・・・・・誰にも秘密にしておいたけれど、体調も良いので練習の後一晩東京にとんぼ返りして国立能楽堂で、
どうしても見たかった「鎮魂」という新作能に文字通り駆けつけていた。5年前にあるきっかけでこの能を創作した、
お能を愛してやまないポーランド駐日大使ヤドヴィガ・ロドヴィッチさんの作品の発表の場を作る事が出来た事
がありました。今回はアウシェヴィッツの犠牲者の霊と東北の大津波の犠牲者の霊が父と子として現れます。
御能という古典芸術も、いつも今回のように他人の目が入った(演出という)隅々まで心配りをもって創られれば、
もっともっとわかり易く難解ではないものになると感じました。
新作は西欧の言葉も入れ、違和感をあえて踏み絵にしながら前に進む真の冒険が感動的でした。
この方法はどんどん試みていただきたい。
シテの観世銕之丞さんの渾身を込めた、動き、舞、語り。
横笛の藤井さんの日本一の音量と故意に枯れさせた、美しい音色、そして、入りや終え方のタイミングの妙。
地謡の一人一人の声、姿、動きの素晴らしさ、と、どこをとっても水も漏らさぬ演者奏者。
確かにこの作品は、いかにも生々しく、次元の違う2か所を結び付ける事に何故か竹と木を継ぐ感があるが、
しかし、それをやらねば芸術は前に進めない。幽玄能は時と場所を超えることによって成り立っているのだし。
勇気と、努力と、多くの人々の愛が地平線に雷を落としたのだ。


美智子皇后陛下がその日、天皇陛下と共に来場されました。
お二人の創られた歌が中に自然に隠されていたことも来場理由でしょうが、お二人とも、お元気そうでした。
実は道義は美智子皇后陛下をアイドル視していて、近くでお目にかかりたかったわけでが、大阪での練習が
早く終えられるかも、という微かな望みは残念ながらかなえられず、一瞬でも話しするチャンスは逃して
しまいましたが・・・ご挨拶に答えていただいただけで元気になりました。
僕の誕生日は天皇陛下と同じ12月23日。私の母の名は字こそ違え「みちこ」。
その廸子は美智子さまと同じ聖心女子大学卒!両者ともピアノを弾く!
以前お話ししたときの美智子さまは、心の深い所に在る「明るさ」で皇室生活の厳しさに耐えていられると感じ、
同時に凄まじいまでの気遣いと、人々の名前を何万と記憶される才能に感嘆したのです。
いつまでもお元気でいて下さるよう!


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