名フィル 第499回定期演奏会 〈井上道義のショスタコーヴィチ#8〉

2022.03.12
愛知県芸術劇場コンサートホール
午後 4時開演

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ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調 作品101(Hob.VIIb-2)/佐藤晴真[Vc]
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 作品65

名古屋フィルハーモニー交響楽団

--追記--
【NHK NEWS】03月14日 14時27分 ロシア作曲家の「戦争交響曲」名古屋の楽団が演奏
NHK東海 NEWS WEBで紹介されました。動画ニュース内では井上のほか、この日のコンサートマスター荒井英治氏のインタビューもご覧いただけます。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220314/3000021444.html

チケット: S席:¥6,400  A席:¥5,200 B席:¥4,200  C席:¥3,200  D席:¥2,200

【道義より】

最後の8番なので練習もたくさん取り、好調な名フィルと充分納得のいく演奏が出来た
と思う。オーケストラにもやはり良い時とそうでない時がある。時代や人間のように。
そして、音楽演奏はその時の社会環境にも左右され、世界情勢も影を落とす。
1日目は「3月11日」でもあり、オケとして初めての日でもあり、道義のジジイ体調も
加わり重苦しい演奏だったと1日経って思い起こしている。
でもさらに底には、ショスタコーヴィッチのこの曲が書かれた時と余りにも共通した
今のウクライナへのロシアの(その頃は1943年のソヴィエトの)戦闘状況が影を
落とし「たかが舞台上の出来事」とは言えない仮想現実の現実との濃厚接触だった。
(・・・こんな気障な言い方をする自分が軽薄でイヤらしい・・・)
どんな理由があっても、個人的な恨みもない相手をトリガーを引いたり、ボタン
を押して殺戮するというのは真の狂人か、コンピューターゲームと現実の境目
が判断できなくなった脳無しのすることだろう!ドミトリーショスタコーヴィッチ
はこの作品で5番の交響曲のあと、聴衆にも自分にとっても、判りやすく
敷居を低くた書き方に見切りをつけ、当時もまだ封印されていた第4番
(1961年にやっと初演)の態度に近い即興的な音運びの中、人間の心の平安と
優しさに収斂していくというまさに今こそ人間に必要な稀有な音楽を書いている。


俺も30代の頃、自分のアイデンティティーコンプレックスや信仰不安、社会と自分の
価値観の相克に追い詰められ、「俺はなんなんだ?人から見れば狂人なのか??」
と疑い、懐にナイフを入れ、深夜人気のない鉄橋を歩く見も知らない男の背後に
近づき、『さあ!刺せるか!』と自問したことを思い出す。
・・・・全然出来ない自分を発見し、そんな行動の必要もない自分・・・を見出した。
その頃から全能でない自分を許すことが出来るようになり、人も許せるようになった。

この戦争も、今までの戦争と同じく、プーチン1人のせいでもなく、大国意識まみれの
ロシア人だけの問題でもなく、まして超大国、米国や中国などの政治家の、又は
ロスチャイルドや、ユダヤ資本の深謀術策などの「一部の人間」のせいでもない。
人間が地球に増え過ぎ、だれでもが望む「自分の大国」を心のそれから、現実の
それに膨らませてしまう人間の性の結果だ。
「便利で無駄がないこと」への希求の結果が拳骨から鉄拳へ、刀や槍から矢や鉄砲、
大砲からミサイル、爆弾から原爆へと暴力は膨らみ、痛みを忘れたんだ。

人は結局過去から何も学ばないのだろうか?例えばだが、俺たちクラシック音楽家は
常に過去から学ぼうとしているが・・・・オーケストラは社会の縮図で子供にとっても、
大人にとってもまたとない学びの場なのだが・・・・名フィルも40年前から間違え
なく、発展したし、ショスタコーヴィッチも、命を懸けて、全体主義の中で彼自身
の天才を大事に育て、大いなる叙事詩たる交響曲たちを残した。この
「たかが舞台上」での人間性の開放の中に、総ての人々が生きることが出来たなら、
戦争はいらないはず!。
・・・かも・・・アヒル・・・


はい、鈍くさいシメです。
8番の終わりのコントラバスのピッチカート(ドレドー)は今、「ダメだー」
と聞こえる。

追記
練習に行くときに何度か乗った宝タクシーの運転手さんがなんと椎間板ヘルニアで
長くは座れないという奥さんを誘ってこのコンサートの切符を買って聴きに
来てくれた。こんな嬉しいことはそうはない。宝になる記憶。
もう1人喫茶店で声をかけてきた中村という俺と同じくらいの車椅子のおばちゃん
がなんと僕の最初のピアノの先生室井摩耶子(101歳)の弟子?と言って・・・
やはり来てくれた。名古屋には出会いがある?何となく付き合い方に違和感がある
名古屋人と思っていたが。


ハイドンのチェロコンチェルトでは佐藤晴真君と小さな編成で、
すがすがしい春の前触れのような音楽を目指した。



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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

1冊でわかるポケット教養シリーズ 指揮者の世界
第2章は井上道義の特別インタビュー「僕が指揮者になって、今も続けている理由」

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