【NHK-Eテレ】N響「第9」演奏会

2022.12.31

午後 8時開演

井上道義が指揮するN響とメゾ・ソプラノ藤村実穂子はじめ国際的に活躍する名ソリストたち、そして合唱が一体となって作り上げる「第9」。
苦悩を乗り越えて歓喜へー 今だからこそ響くベートーベンのメッセージを届けます。
(収録:12月24日(土) 午後2時公演 NHKホール)
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【道義より】

道義の第九の演奏会は一旦ここまでで、筆を置きます。
広島と大阪がありますが、アンコールだと捉えている。

この作品を、16歳で初めて聞いたのは日比谷公会堂で
日本フィル、指揮はシャルル・ミンシュだった。
大学の時、ピアノ2台で友人のピアニスト、楊麗貞、鈴木賀一、
相良明子、篠崎史子、喜多容子、大江章子達と
尾高忠明ともピアノで弾いたり振ったりはしていた。
その後成城合唱団でピアノ伴奏したりもした。
初めて振ったのはニュージーランドシンフォニーオーケストラの
30周年記念で僕も30歳だった。その1っ週間前、自宅で母親を
右手でぶら下げ肉離れして左手で振る羽目になっていた。
その後いったい何度振ったかわからない。
たぶん僕のシンフォニー歴史で一番多く振っている。
(でも外山雄三さんの1000回?とは比べないけど)
今だから書くが、井上は80年代中頃に、N響と小澤事件を思わせる
大喧嘩して20数年間指揮しなかったが、ちょうど其の頃、
日本中津々浦々のホール建設ラッシュとともに年末に第九を多くの
アマチュアコーラスがチャレンジした時代があった。
どうしたら良いか判らないコーラスもあったのだろう、NHKから
声がかかり、「第九を歌おう」という番組の制作に深くかかわり、
早稲田のオケと成城合唱団で毎週どうやったら、発音、発声から
多岐にわたる第九(特に4楽章)を自分たちのものにできるかと
いう番組をスタッフと雁首突き合せて作ったものだった!

日曜大工のノリだったのかな?面白さ、難しさ、ベートーベンが
この曲を作った歴史などを含めて教材本を作成、10万部が売れ、
放送は3年にわたって再々放送されたことがあった。あの番組が
きっかけで歌手を目指したという人に何人も会った。
だから僕はもう本当に演歌歌手の持ち歌のように、そればかり
振った時代があった。・・・・・さすがにその状態にすぐさま
違和感を感じ、隔年でないと第九は振らないように決めた。
時は過ぎ、マーラー指揮者道義.現代曲指揮者道義、ショスタコ
指揮者道義、コンサートオペラ指揮者など遍歴の後、2013年
北朝鮮で彼の国初の第九を指揮しに行き、帰りにインフル
エンザにかかり免疫力が落ち中咽頭がんになった原因を作ったし、
3年前はオペラシンガースと北京で第九を振った時には
すばらしいホールと対照的にあまりにひどい練習モラルの
北京のオケに居ても立ってもいられずキャンセルして帰国寸前の
事件もあった。

今回のN響との2022年の5回の第九でそれに幕を下ろした。
そこまでの道のりはドラマなのかも。
「井上がN響定期?絶対有り得ない!」と事務長に言われて帰って
きたことあったとは梶本音楽事務所時代のカジモト社長の懐古調の
セリフ。
26日のサントリーホールという、世界に名を馳せている
ワインヤード型の典型でのコンサートの後数日して生放送風第九
を放送で見聞きしての感想は...
ごめんなさい・・・・・「音楽は生でこそ」でした。
特に3楽章の音色感、距離感、合唱の迫力、4人のすばらしかった
ソリストの息継ぎ、4楽章のコントラバスの反発力とチェロのガッツ、
生の歌声、生の楽器、等々。僕は今このオケを愛してる。
もちろん全員とは言えないけれど。それはお互い様だろうな。

なんと僕の1月に初演するオペラのテーマは「赦し」だ。

そう、あの3500人のNHKホールでのあの日の演奏を放送技術陣は
相当良いアングルで趣味良く捉えていたと思う。
「皆様のNHK」の枠を超えていました。
これはおべっかではありません。
あっそうそう、白井圭さんの髭、シュール!菅原さん卒団おめでとう。


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