【第54回(2022年度)サントリー音楽賞】受賞!!

2023.03.29

この度、井上道義が第54回(2022年度)サントリー音楽賞を受賞いたしました。
共演したオーケストラの方々、関係各位の方々、いつも応援してくださる皆様、
心から感謝申し上げます。
沼野雄司さんによる贈賞理由も併せてご覧ください。

サントリー芸術財団ニュースリリース [PDF版]
KAJIMOTOニュース

【受賞理由】 
 若くして頭角をあらわし、今年で77歳になるという年齢ならば、もはや「重鎮」や「巨匠」と呼ばれてもおかしくないのだが、井上道義をそんなふうに呼ぶ人はほとんどいない。これだけの活躍をみせながらも、その存在は強く未来を感じさせる。いまだに「若手」のようなのだ。
 泰西名曲をしっかりとりあげる一方で、現代作品の開拓にも余念がない。あるいは、あえて道化のようにふるまいながらも、その音楽は実直で正統的。そんなさまざまな矛盾が、時として彼を異端のようにも見せてきたわけだが、しかし近年の演奏においては、その矛盾がいわば豊潤へと変化を遂げ、ゆたかに実っているように感じられる。
 とりわけ2022年は、ショスタコーヴィチ作品において、スペシャリストならではの充実ぶりをみせた。2月に「交響曲第5番」(読売日本交響楽団)、「第15番」(オーケストラ・アンサンブル金沢)、「第1番」(東京フィルハーモニー交響楽団)、3月には「第8番」(名古屋フィルハーモニー交響楽団)、11月に「第10番」(NHK交響楽団)といった具合。鬼気迫るラインナップではないか。
 さらに藤倉大の新作「Entwine」(読売日本交響楽団、1月)、クセナキスの「ケクロプス」(東京フィルハーモニー交響楽団、2月)、そして伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」(NHK交響楽団、11月)など、重量級の作品をこなすとともに、オール・プロコフィエフ・プログラム(兵庫芸術文化センター管弦楽団、4月)、偽作をあえて並べて見せた「モーツァルト+」(神奈川フィルハーモニー管弦楽団、5月)など、凝ったプログラミングも冴えわたっており、さらに年末にはNHK交響楽団とのベートーヴェン「交響曲第9番」で、なんともふくよかで、どこか懐かしい音の大伽藍を築いて見せた。これだけ骨のある活動を継続してきた指揮者は他に見当たらない。
 以上の理由をもって、井上道義に第54回サントリー音楽賞を贈ることを決定した。
(沼野雄司)


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「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

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