大阪フィルハーモニー交響楽団 第575回定期演奏会

2024.02.10
大阪府 : フェスティバルホール
午後 3時開演

J.シュトラウスⅡ世 : ポルカ「クラップフェンの森で」
ショスタコーヴィチ : ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)〔抜粋〕
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第13番 変ロ短調 作品113「バビ・ヤール」
 /アレクセイ・ティホミーロフ[Bs], オルフェイ・ドレンガー[Cor]

大阪フィルハーモニー交響楽団

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チケット: A席:6,300円 B席:5,300円 C席:4,200円 BOX席:7,400円 学生席:1,000円
演奏会お問い合わせ先: 大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890

【道義より】

5年がかりとなった「大プロジェクト」と呼べる4つのコンサートが、終わった。


コロナに邪魔され、ソリストも当初の予定から変わった。僕の体調も変わった。
その間激しい腎臓病は幸い克服、今は身体がギシギシいうような坐骨神経痛。
でも何より粘ったN響に大感謝。それと大きなーホールNHKホールに次ぐ2500席を持つ
大阪フェスティバルホール(ショスタコには響きが合うホールだ)も、二日間沢山の情熱的
なお客さん・・東京でもあったようになかなか帰ろうとしなかった。
僕も終わりたくなかった楽屋ではぐずぐず着替えた。


そりゃそうだ!44歳アレクセイ・チモフィロフ(彼が歌手になりたいと思ったきっかけは
あの伝説的バス歌手シャリアピン(そう‽帝国ホテルのシャリアピンステーキは彼が隣の
日比谷公会堂に通いながら料理長に頼んで作ってもらったステーキの名だ)の声を録音で
聞いてああいう声で歌える歌手になろうと思ったそうだ。
彼は昨日シャリアピンそのものだったではないか!!)絶好調の第2声がホールに響き
渡った時!僕も含めて今日は何か降りてきた!と感じたからだろう。
(第一声はスウェーデンのオルフェオの僕達合唱団(オルフェイドレンガー)が、
「バビヤールの谷に墓標はない」と美しくも苦い表情でまるでこの曲が今作られた曲の
ように響かせた後だった。


N響と大フィルでこの作品を、これだけの感動的かつ、技術的にも世界的に高度な演奏で
終わることが出来たのは(俺の引退とか戦争をやっている今とか言う変な感傷のを越えて)
、現代風に「マジな話」と書こう、積み木細工が倒れなかった{奇跡}以外の何物でも
なかった。カジモトの親身なサポート、5年間信じて粘ってくれた、それぞれののオーケ
ストラの西川氏、福山さんに感謝だ。ソリスト選びの時には病院のベッドの上で朦朧として、
サキノコトナンカドウデモイイ・・・状態だった私を正気にさせようとしてくれた、医師、
妻、友人、恋人、妹。真夏だったのに温度が全く変わらなかった窓からの景色・・・・にも。


大フィルではコンマスは旧友の「運好くチェー」さん(ごめん本当はCHOI MUNNSU)は
ソヴィエトの時代のロシア、それもショスタコーヴィッチが作曲した状況とあまり変わって
いなかった70年代のモスクワに長く留学していたのでロシア語も出来るし、当時の状況の
内容もすぐにわかるというように「舞台が整って」いた。実は僕も70年代には2度ロシア
に行っているが、指揮をしたりするだけで言葉は全く学ぼうとしなかった。
まさかこんなにこの国の代表的作曲家を愛してしまうとはその頃はみじんも想像しなかった。
長い、暗い、難解な・・・と思わされていた。
その上、大阪フィルハーモニーは「民間」のオーケストラ、今回初めから事業的には赤字
の作品であっても2晩のお客さんの、理由ある熱狂にも支えられ、価値は充分ありました。
サックスの林田さんは哀愁極まる音楽を作り出し、それぞれのソロ楽器もよくやった。
フルートのやんちゃ坊主野津さんもうすぐ退団だってね。平和になるかつまらなくなるか?


ソリストが最後に落涙した大阪での熱狂の原因の一つに「字幕」を出せたことが非常に大きい。
内容の理解にその場その場で踏み込みやすかったのだろう。理由は聞いているがNHKでは
それがなく、内容を言葉でも捕まえたい人は薄暗い客席で眼鏡をはずしたり取ったりしながら
プログラムの邦訳をを追うと方法であった。
理由の一つは、、、、、音楽をこそ聴きたい人のため、だ。
そう!楽ばかりが世の指標であってはならない!が、作品によっては入れてあげるべき
と思うなあ。


ここでジジイは妄想に入った。

先日免許書き換えで鮫洲に行き、中学時代の、もっともつまらない先生の授業を思い出す
「後期高齢者講習」を受けた。最後に質問はあるかと言われたので・・・・
「今なぜ右足を使ってブレーキを踏むことを奨励しているのですか?
オートマチックギアーの今『アクセルとブレーキを踏み間違えた』という高齢者の事故は
左足でブレーキを踏むという事で防止できるのにでは?」
と無駄を承知で言ってみた。答えはなんと、
「慣れている右足で踏む人にとってはどうのこうの」と御託。
音楽を聴こうという人にとって邪魔な字幕、という問題と似ているように思う。
左側にあるブレーキは左足で踏めば間違いは絶対に少なくなる。どうしても右足で踏まねば
ならない人はそうすれば良い。
左足に若い人には左足でブレーキをを推奨、、、、、左足思想ヨクない?。



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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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ショスタコーヴィチ:交響曲 第7番 「レニングラード」

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チャイコフスキー:交響曲第4番
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