兵庫PAC 第115回定期演奏会 井上道義 ミュージック・オブ・ジ・アメリカズ

2019.05.24
兵庫県 : 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
午後 3時開演

190524.jpg

マルケス : ダンソン第2番
マルケス : トランペット協奏曲 ※共同委嘱作品(日本初演)/パーチョ・フローレス[Tp]
コープランド : バレエ組曲「ロデオ」より
 III. 土曜の夜のワルツ IV. ホーダウン
コープランド : バレエ音楽「ビリー・ザ・キッド」組曲

兵庫芸術文化センター管弦楽団

チラシPDF>>

チケット: A 4,000円/B 3,000円/C 2,000円/D 1,000円 (全席指定/税込)
演奏会お問い合わせ先: 芸術文化センターチケットオフィス : TEL 0798-68-0255

【道義より】

今日は長くなります!!
林伸光さん、が大阪のシンフォニーホールからここ兵庫芸術文化センターの、
総支配人になって幾年月・・・。今ここは、佐渡裕君の性格から湧き出る、
「みんなおいでよ!」な態度と幅広い企画の人気もあって日本の中で破格に
一杯なお客さんが、定期演奏会の3日間、を埋め尽くす!ようになって久しい。
関西のベッドタウンに近い立地条件、高品質な建物と響の良い大ホール、
それも大震災の後からの稼働という時期的な条件、阪急電鉄などとの蜜月な関係・・・
何より、井戸兵庫県知事の強い後押しで、今一つの黄金期を迎えている。

僕も相当好き勝手な企画をやってきている。ほとんどすべてのアイディアを
受けてもらっている。

楽員たちは若く、経験もなく、3年ごとに3分の1がメンバーが新しくなる。
そういう意味では千葉県少年少女オーケストラに、どこか似ていて、いわゆる、
プロのオケから見ると、orchestraの体をなしていないじゃないか!と意見を
言われる面がある(それは大変一面的な意見だと思う。僕は今のベルリンフィル
なんぞは何処の国の何を目指すオケ?と思う...後述する)。
しかし千葉の知事の理解(文化へのコミット意識の違い)と、兵庫のそれの
違いは、20年ほど経った今、真に建設的な意味で継続的な絶えざる芸術の
企画を生むだけの余裕を得て力強い。
売り切れる企画も第九、カルメン、椿姫、カルビナブラーナ辺りでは
なくなっているようだ。目出度い!!
このことが、これからは更に佐渡君に都合が良いプログラムではなく、
(これは佐渡君への批判では全くないです。小澤征爾さんを超えた地元との、
深い関係をもって、ウィンウィンの関係での企画をし続けてきていると思います)
今や、真に、関西を、日本を、アジアをリードしていく冒険と、チャレンジ精神に
満ちたものに育つことが可能になっていると感じられるのです。
例えば、ひと昔前の大阪国際フェスティバルを超えて!

今回は、「アメリカ音楽プログラム」・・・と言っても一昔、いや2昔前の、
USAでもない、アメリカ大陸の音楽。今は壁を作ると言っているメキシコ、アリゾナ
テキサス辺りが、まだ合衆国とは言えなかった頃のならず者!ビリーザキッド!
を中心に(いや~~~オカシクナイデスカ?主人公は人殺しだぜ、無頼漢だぜ、
日本で言えば任侠の兄ちゃんの物語とか、それに、暴れ馬遊び=ロデオとかを、
コンサートホールでやるんすよ?そう!この時代のアメリカ音楽ってなんだというと、
黒人由来だったり、スペイン植民地由来だったりなんだから・・・・。
作曲のコープランドはフランスで勉強したわけだし、アメリカンバレエシアターという
のが出来たのも、1940年。つい最近の話。
初めて米国のオーケストラの指揮者になったアメリカ人はあのバーンスタインなんだし、
なんとも若い国なのだ。
そうそう、古い国である中国などもこれからはクラシック音楽をどんどん日常化して
いくのだろう・・・・・うううう~~んしかし、何となくそんな時代に生まれなくて
よかったと、オレは思ってしまうけど。
だって、若い道義にとって「クラシック音楽」は天竺におごそかに存在するようなもの
であったからだ。
そこには、イタリア語の世界、フランス語の世界、ドイツ語の世界がはっきりと、
別々に存在し、それらの違いを知ることが非常に面白く、また困難な事だった。
ロシアはちょっと別格だったが。
そうそう!昨晩大フィルを振ってその素直な真剣さにすっかり見直した
マエストロ、シャルルデュトアと焼肉を食べながらの話題・・・・
「俺たちはそれぞれのオケを振るときそれぞれの国の言葉しか通じなかったから、
死に物狂いで何とか通じさせるように言葉を広く勉強しなければどうにもならな
かったが...今はどこも英語が通じて便利だけれど‥‥」というのと。
何処か相通じる。

トランペットの天才、マルケスの新しいコンチェルトで4つの楽器を使った
パッチョフローレスは、ベネズエラ生まれ。
アルゼンチンやブラジルならまだしもあの最貧国だったベネズエラに石油が出て、
青少年オーケストラの運動を始めたアブレヴ博士(最近亡くなった)は悪名高い?
アンチUSAだったチャペス大統領と組み、シモンボリバルオーケストラを立ち上げたが
その種をまいたのは、一人の日本人バイオリニスト小林武史氏だし、彼が育ったのは
松本のバイオリン才能教育で有名な鈴木メトードだ。

世界は近くなって良い事‥‥なんだろう。

富士山は今も昔も美しい。     かも・・・。
噴火口を掘ったら石油が湯水のように出て名水はなくなったりして‥・冗談です。


91VgvCQM9tL._AC_SX679_.jpg

ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

91VgvCQM9tL._AC_SX679_.jpg

ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂

「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

71y585U50+L._SL1417_.jpg

ショスタコーヴィチ:交響曲 第7番 「レニングラード」

大阪フィルハーモニー交響楽団

OVCL00627.jpg

ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」

大阪フィルハーモニー交響楽団

ovcl_00563_h1_l.jpg

チャイコフスキー:交響曲第4番
ショスタコーヴィチ:ロシアとキルギスの主題による序曲

大阪フィルハーモニー交響楽団