N響 第1921回 定期公演 Aプログラム

2019.10.05
NHKホール
午後 6時開演

グラス : 2人のティンパニストと管弦楽のための協奏的幻想曲(2000)
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第11番 ト短調 Op.103「1905年」

http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=969

チケット: 一般:S席8,800円 A席7,300円 B席5,700円 C席4,600円 D席3,600円 E席1,500円
ユース:S席5,500円 A席4,500円 B席3,500円 C席2,500円 D席1,500円
演奏会お問い合わせ先: N響ガイド TEL:03-5793-8161

【道義より】

この日の演奏は11月17日に放映されます。
有馬賞の事もあり、色々と書きたいことが多く、しないゆっくり時間をとって書きます。

と書いて一週間がたった。台風が荒れている。
万感の思い、という言葉がある。このコンサートにはあまりにも多くの過去の積み重ね
の中から生まれたと思い、文章にまとめられない。2014年5月咽頭癌を発症して既に、
5年以上が経ち、喉以外は元気という運命。その年ブルックナーの9番を痩せてフラフラ
で、麻呂さんはじめ楽員さんが強力にリードしてくれての鎌倉芸術館でN響と再起?
コンサート‥‥、その時、俺のマネージャー小倉はデクレッシェンドな俺の人生の
幕引きにアクセントをと思っていたらしい。
今73歳。
強い影響を受けた斉藤秀雄、渡辺暁雄、岩城宏之、ジュリーニ、よりも年上になった。
バレエ少年だった14歳のころ、「僕は今幸福だ。このまんまジジイになるまで居られる
にはどうしたら良いのか?」とのテーマで舞台と指揮を中心に人生を進んできて、
今そのターゲットのド真ん中、台風の目は静かなもんだ。

90年代、京響と自分を生かすために無我夢中で入り込んだショスタコーヴィッチ
の世界。「世界的」と言われるための権謀術策に身を投じることに、背を向けて、
自分と、目の前にいる人、ある世界、を最大に輝かせるための道を歩んできた。
今回、N響から有馬賞というのをいただいたが、その時になんと65回も協演していると
知って、驚愕した。途中故あって20年間、まったくN響を振らない時期があったに
もかかわらずだから。
今回11番が素晴らしい結果の演奏になったには、1975年ソヴィエトの4つのオーケストラ
とのソヴィエト国内演奏ツアーでの経験、いやそれ以前の桐朋学園弦楽オーケストラ
とのヨーロッパ30公演ツアー中での社会主義国経験も、KBS京都放送との、冒険に満ちた
コラヴォレーション。
また自ら望んだ2006年、ソレルチンスキー氏の息子さんに世話になってのロシア国内
5つのオーケストラとのショスタコーヴィッチ演奏ツアーに続く、2007年の
日比谷公会堂での全交響曲連続演奏会の死に物狂いな圧縮経験。
ショスタコーヴィッチ協会とやらをでっちあげての専門家やオタクたちからの、多くの
刺激。加えて日記や私小説のような作曲活動。どう頑張っても不明な実の父親捜索や、
バイクでの骨折、重機に挟まれての大怪我等々。ついには今年危なく溺れるところだった
海藻まみれの荒海からの生還。
これが皆11番の僕の指揮になっていると感じる。その上俺はこのままでは音楽家として
駄目になる!と勝手に思い込み、1年間指揮活動をやめてウィーンにオペラの勉強に
行った35歳の時、親切にしてくれたライナーキュッヘル氏がコンサートマスターだった。

ティンパニーコンチェルトも意外や意外とっても楽しく世に残る演奏が出来た。
植松さん久保さんとはまるでラグビーチームな感触!忘れない。

一言だけ、ぜひぜひ日本のトップオーケストラが専用ホールで練習ができる時代が
早く来ることを望みます。まだまだ電信柱が多く、景観を壊していることにだれもが
疑問を抱かない世界の東京。上を見あげれば、蜘蛛の巣城なのに。
もっと安く地中化するアイディア位すぐに出してください!  電力会社さま


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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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