【公演延期⇒延期公演2024年3月28日】大阪フィル ザ・ファイナル・カウントダウン Vol.1

2023.07.17
大阪府 : ザ・シンフォニーホール
午後 2時開演(午後 1時開場)

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公演延期・払戻しのお知らせ
https://www.asahi.co.jp/symphony/event/detail.php?id=2546
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〈道義×小曽根×大阪フィル ショスタコーヴィチ&チャイコフスキー〉

チャイコフスキー : 歌劇 「エフゲニー・オネーギン」より"ポロネーズ"
ショスタコーヴィチ : ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 op.102/小曽根真[Pf]
チャイコフスキー : 交響曲第4番 ヘ短調 op.36

大阪フィルハーモニー交響楽団

演奏会お問い合わせ先: ABCチケットインフォメーション TEL:06-6453-6000

【道義より】

今まだ高台の病室にいる。
四日間の休止符のような日を数えなければ、もう40日以上寝たきり。
「これをチャンスにゆっくりして下さい」的な、見舞いメールをくれたり、
「明日お見舞いに行きたいです」という人さえいる。
そんな呑気な入院というのも有り得るが・・・・。
今回は第二回「ガダルカナル島での兵卒の苦しみ」で冗談じゃなかった。
(一回目は2014年の中咽頭癌ステージ4抗がん剤治療の喉が焼けていた一か月)
今やっとパソコンに向かう身体と精神状態になりつつある。こんな内容、他人にとって
は気が重くなるだろうから、箇条書きにする。なぜこうなったか?

①サントリー賞を受けることになった冒険的で内容の濃いコンサート達の準備や
1月の自作オペラ初演の連日の稽古で、ストレスが重なった(お祭りには付き物)。

②生まれて初めての腰痛がひどくなり、安易にロキソニン(腎臓に非常に悪いと
知ったが後の祭り!)すぐに効くには効くが得体のしれないブロック注射にも頼った。
本当の医者にしっかり血液検査、CTスキャン、エコー検査等、じっくりやって
もらうべきだったがこれも後の祭り。

③1月23日サントリーでのオペラ後の深夜に尿路結石の発作(飲み水はマネージャー
の小倉君たちに飲まされていたし、深夜うどん屋で祝杯の祭りの後。ゆっくりと風呂
に入って寝たのに)早朝に東京医大にかけこむ。でももうこれ、10回目ぐらいなので
真剣に予後を注視せずに、その後もコンサートを続けた。経験したことのないだるさは
年齢なのだ、年は取りたくない!と感じていた。

④とはいえ衣装を着替えるだけで目にクマが出来る自分が次第に死刑台に登っている
とは思いもしなかった。リストの前奏曲が脳に鳴っていたが毎日が充実していた。

⑤名フィルとの異常な盛り上がりのコンサート(服部モネとバルトークは超名演。お客さん
にどれだけ違いが判るのか信用しないが)などの後、東響と川崎と新潟でのコンサート時
には俺はもうダメ。本番を背中にバーをつけてもらって晩年のクライバー?のように
フラフラ振りで終えた翌朝、東京医科大学に再入院した。白血球数危険な数値をとっくに
超え、炎症反応の数値もクレアチニン数値も人工透析レベルだ!と言われさっそく尿管
ステントを入れられてカテーテルも入れられ点滴の嵐。

⑥普通ここからは良くなって行くというのが常識だが・・・逆。吐き気、痛み(大声で叫ぶ
ほどのが一日に10数回が4日間ノンストップ。医師がいない真夜中、コスプレ風看護師
とか来ても役に立たない。「イタミドメイレマショウカ」とか言うのみ。モルヒネ持って
来いのレベルなのに。
その後、食事が全く入らない1週間、飲めと言われる水はどぶ水のように臭う・・これは
癌の時も同じだったが‥ので無理。そのうち点滴の抗生物質の副作用か、止まらぬ吐き気
の中まだまだ未知のだれもわからない人間の内部にある黴菌(バクテリア)が移動感染し、
酷使と結石のショックで腫れた腎臓の弱さとの相乗効果で、消化系内臓が全停止。
24時間寝ても起きても胃腸はただの、肥溜めごみ溜め。自分で起きるのもままならなく
なっていた。
何故か経口でもらう薬すべてに,胃腸が反旗を翻し始めた。その医大病院は、数字を見る
だけで病人の訴えを無駄としか思わない、見守りなんぞ避けるインヒューマンな医療態度に
不信感しか持てず、中途退院、紹介をしてもらい、日赤医療センターに転院した。
そこでは飲み薬は全停止してもらう。その後ようやく数多い黴菌から俺の病のもとと
なっているそれと、それに何とか有効なある抗生剤での治療中だ。お見舞いとかのレベルで
なく、下界への興味はゼロ。窓から外の景色を見る力が出たのは、ここ1週間だ。

⑦影響・・・決まっていたコンサート
多くなかったがやはりキャンセルや延期や交代、こればかりはどうにもならない。
ヨレヨレの病人がベートーベンなんか出来っこない。
影響・・・精神的に
引退とか普通は矢折れ弾尽きて仕方なくするのが引退だろうが・・・
俺は自分の先生であれ、憧れていた指揮者であれ、力を落とし、音楽の水先案内も出来ず
鼓舞することも出来ず、オーケストラの後について「指揮をしている振り」をして楽員
の尻を舐めるような態度をとることを拒否する。
だから・・・いま、「もうこの際全部辞めなさい!」と神様に言われているように感じる。
俺には舞台で起こる事が生きるすべてであり、現実の俺の生きざまなんぞはそれに奉仕する
器でしかないなのだ。
人間社会はこれからさらに肥大化し、細分化し、壁が沢山出来て当然人々は陣取り合戦に
明け暮れ、愛をもって赦しあうことが不可能になるだろう。
絵空事さえ許されなくなる。判りやすく書けば三島由紀夫の絶望と相似している。

影響・・・はやく自伝をまとめたい。そのために時間が要る。
それこそ馬鹿らしい自己満足の行為と知っているけれど。

そんなことより会話するのに必要な唾液を刺激する「甘みのない長持ちするガム」
(一枚500円でも良い)を作る食品会社はいないのか!!!!
そうしたらこんな引退だとか言わないで済むかも。
!!世界中の同病者が渇望しているのに!!


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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

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「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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ショスタコーヴィチ:交響曲 第7番 「レニングラード」

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