新日本フィル 井上道義 ザ・ファイナルPART1 道義×小曽根×新日本フィル

2023.09.17
すみだトリフォニーホール 大ホール
午後 3時開演

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モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527より序曲
 ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調「ジュノーム」K.271
ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番より
 ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 op.35 / 小曽根真[Pf]

新日本フィルハーモニー交響楽団

チケット: S¥7,000 A¥6,000 B¥5,000
演奏会お問い合わせ先: トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212

【道義より】

復活はしないけれど復帰しました!6月7月と辛い2か月入院が続き、筋肉が落ち
7キロ痩せて人前に出たくない身体になったけれど、何とかその半分は取り戻せる
状態で、本当に幸いなことに小曽根さんや新日と出ないとできない
(トリフォニーホールには少し小さめな編成の)プログラムだが助けられて昨日
無事に終わりました。今は使った肩が上がらないけど、お客さん一杯での良い
コンサートの結果だ。全然かまわない。
腎盂腎炎の影響からくる身体のとんでもないだるさ、それに脳味噌が影響を
受けてのやる気のなさはなくなってきているが、なぜか腰痛になってきていて、
心は過ぎた思い出、ノスタルジーに溺れる毎日なのに、身体だけは前かがみ。
鏡と言えば「鏡の眼」という名の曲を書いた時も演奏もしてくれたなあ。
「メモリーコンクリート」という長い曲も、今回の病気の種を蒔いた「降福からの道」も。


誰かに舞台に出てくるテンポが朝比奈隆!と言われて喜んで良いのか悲しむべきか、
正直言えば「それ見ろ、だから引退のタイミングなのさ!」だけれど。
もう少しやれる感触が芽生えるコンサートだった。

そうそう、タコの1番のコンチェルトのトランペットソロを吹いた山川永太郎君、
大したもんだ。世界中あのパーとは前にも後にも無いような立ち位置で書き込まれ
ていて(具体的にも、音楽的にも)僕も何度か演奏して来たが、今回練習時間もあり
ホール練習というトリフォニーホール+NJPだからこそ出来た事だが
「ここは歌口を下に、ここは横向きで、ここは3階席に向かって、ここは弦楽器群に
後ろ向きで埋もれるように、最後はピアニストを食ってしまえ!」とか書いたものを
彼に渡した。(でも吹くのは君だから好きに変更してみても良いと言って)
山川は余裕あるプロフェッショナルな精神でいまだかつてないあのスコアを書いた時の
ショスタコーヴィッチの深層心理の表現を形のしてくれた。聞く方もあれで曲の全体が
とらえやすくなったはずだ。
(ショスタコは初めトランペットコンチェルトを書こうとした。でも結果的に
自分がピアノを弾く、又は弾きたいピアノコンチェルトにしたという発想意識からか、
ラッパをピエロ扱い、のけ者扱い風に書いている部分の意味に合点がいったと思う)  
何といっても今日の白眉はこの作品であった。小曽根真さんの天才性が最も発揮
できていた。その前に演奏されたジャズ組曲1番は編成がオーケストラのコンサート
にはそぐわないものなので、なかなか聞いてもらえないのだが、今回、ロシア風
ソロバイオリンを、チェさん、サックスは林田君達、バンジョーと今は、はやらなく
なってしまった(好きだな~~)ハワイアンスチールギター(高木大丈夫君)、
岩城宏之か平岡養一風シロフォンの真耶さんが、往年の場末のバンドを演じてくれた。

前半は地獄落ちから始まるドンジョバンニ序曲の後の、モーツアルトのジュノム第9番
コンチェルト。これは小曽根さんが運命的にクラシックを始めることになった作品です。
それから今やラフマニノフまで手を広げている彼のクラシック初体験曲。
この曲になったのは尾高忠明も僕も係わっていますがそれはまた彼から聞いてください。
まことさんも、ジュノムをビッグバンドで60分かかるという曲を書いたりして、指も
脳味噌もジャズに引っ張られての演奏。好き嫌いは聴く方たちに激しくあるでしょうが
世界中でそんなことが出来るのは彼だけ。あのモーツアルトさん!とは言えない、でも
それが出来る二刀流とは、大谷選手のようなこと。そのうえ2楽章のピアノの音色は
澄み切って自己顕示のいやらしさがみじんもない!もーねー本当に一期一会の時だった。
自作、他作の演奏の違いは何かという究極の問いも生まれたとおもう。
亡くなった人の作品演奏と生きている人の演奏との微妙な違いとは?とかも。

新日こそ、復活してきた感がある日だった。



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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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