モーツァルト ピアノ協奏曲の旅「ウィーン編」Vol.1

久しぶりのいずみホール。このホールのオープニングでフィガロの結婚の抜粋を
上演したのが懐かしい。貴族側を白い衣装、庶民を黒、その間をうまく泳ぐ人間を
灰色の衣装にして、舞台はチェスの台のように白黒の網の目にした。
その時の歌手もオケのメンバーももう僕の近くから見えなくなっている・・・・。
今日のソロをやった阪田君が、「サインをしてください」と持ってきたCDは
１９７１年の秋サルツブルグでの僕の初録音。彼が生まれるよりずっと前のもの。
ハハハ。やってらんない。俺ときたら、モーツアルトやメンデルスゾーンの２倍も
生きちゃって、腰も痛いし、耳鳴りだし、薬づけでぼんやりするし、練習中、
目も回って医者には駆け込むし、本番前にはお腹を壊すし。

大フィルの中心メンバーとのモーツアルト！練習に時間をかけられたのでお客さん
にとってもきっと楽しい結果に終わったが、道義は危ない橋を渡っている。
阪田の創った面白いカデンツアを他人事のように聞いてしまった。プッツン。
彼もいつか髪の毛を失うのだろうか？僕も３５歳まではあんな感じ、別人だった。
若い頃可愛くて人気があったアマデウスも３０を越したころからちやほやされなくなり、
借金をするようになっていったようだが幸い僕は借金したことはない。いや、ちがう！
借金できるのは大した才能があるから出来るのだと思うべきだ。とか。

次のコンサートは高崎と東京でショスタコの若書きで難曲で名曲で大曲の第４番。
大フィル監督就任の時演奏し、本場よりも良い演奏と言われるＣＤが残されているが、
あの後中咽頭癌になって死ぬかと思ったのが２０１４年。今日もあの時のコンマスも
縮れ毛のチェさん。助けてくれた。いまあれをこの体力で振れるかと聞かれれば、
神のみぞ知るだ。　　髪？蚤？象？死ぬ！