●東北関東大震災に付いて

2011.03.16

今回の大地震に今もバイオリンの仙台の郷古すなお君との連絡が取れずに恐れていたが、無事と判明。彼は高台にすんでいたのだ。多賀城の海の方はひどいそうだ。彼はあの日海岸に自転車で遊びに行くつもりだったのに雪が降ってきたのでやめちゃって結果今生きているのだ。今すでに金沢で21日の金沢でのコンサートの練習に入っているが、何でもない旋律が、いとおしく感じる。

ただし、企業メセナーの力強い後押しによって成り立っているサントリーホールでのコンサート(3月24日7時)は中止します。
(オーケストラ・アンサンブル金沢HP)

オーケストラのコンサートの様な規模の大きな音楽会というのは、やはり社会の地盤が強くしっかりした上に成り立っていることを実感させられる。幾ら少数精鋭なアンサンブル金沢といえども道端で演奏するのでは存在価値がありません。

凍え、暗い夜を過ごしている人々がすぐ近く(300キロ~500キロは遠く近い)いるのに企業が音楽会を催すというのは確かに手控えるべきでしょう。今出来るのは沢山の大きな段ボールに入れた、少しでも多くの支援物資を急いで送ることだろう。

ただし、飢えて、屋根もなく、薬もない生活をしている人々は世界中にいつも何千万と居ることも現実です。

一方、25日(24と書いていたごめん)のオペラシティー2時は実行が正式に決定。オペラシティーはさすがです!
そのコンサートはオペラシティーが主催するものです。今、僕が出来ることは、福島に行ってやみくもに原子炉に水をかけることでもなく、東北の海岸に何が何でも駆けつけて水や、ホッカイロを届け、少しでも食べ物を持ちよることなのだろうか?逆にコンサートホールの電気を消すことだろうか?

違う!音楽家に出来ることは、音楽をしっかりやることしかないのだ、という考えの側の行動だ。原点はいかなる時どんなときにも人間には音楽、歌や踊りは必要なのだというところだ。
1945年6月に第九のコンサートをやっていたあの頃の日比谷公会堂と似たシチュエーションにも見える。しかしあれは敵があった戦争。
いまは相手が見えない津波への無力感にさいなまれつつ思う。

政府、東電の福島原発の事後処置の遅さを感じさせる、それら報道の遅さ、その政府報道時の人ごとの様な緊迫感のなさ、一番にヘリで見ていながら、ほとんど即時現実的な救助活動の発令の出来なかった(したのかもしれないがそれを知らせようとしなかった)首相の判断の甘さ(先日やっと10万人)、地上から救助に行けないなら海からの上陸用舟艇等(放射能や再度の津波の危険があっても)、民間ヘリコプターの大量動員(自衛隊も迅速さがたりない!)等での敏速な処置をするとかいう指揮権の機智のなさ。私が彼なら昔の武将の様に福島原発1キロ近くに臨時官邸をテントででも無理やりにも造りそこで処理をした。(放射線を浴びたって人間何時かは死ぬのだ、多少早まっても60年生きた後なら大した違いはない)

海上自衛隊等の艦船派遣、米軍、韓国軍などに大量の重機を運んでくれとかの支援を要請すべきなのにやっているように見えないですでに3日目。このような政府をつくってしまった我々国民。
人命救助など全く出来ていない・・・しかしほとんどもう助けられないのだろう。


もう自然の猛威との勝負はついたのだろう。
始めから役に立たない防波堤等を造ってきた子供だましの我が国土の現実。
この無力感がこれからは続くのだろうか?
僕も今からでも人の助けに行きたいが・・・・・。何が出来るのか。

彼らの作った街をもう一度作り直すことは出来ない。彼らの失った家族を取り戻すことは出来ない。あのように津波を知れば人は同じ所に家を建てるだろうか?


そもそも、人はなぜ何かを作るのだ??????
2011年3月16日


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ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

Schedule

降福からの道 欲張り指揮者のエッセイ集
「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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ショスタコーヴィチ:交響曲 第7番 「レニングラード」

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