モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」~庭師は見た!~新演出

2015.05.31
大阪府 : フェスティバルホール
午後 2時開演

紘友会総合病院設立35周年記念チャリティコンサート
「国境なき医師団」支援のために

全国共同制作プロジェクト(全4幕・字幕付 原語&一部日本語上演)

指揮・総監督 : 井上道義
演出 : 野田秀樹
副指揮 : 佐藤正浩

アルマヴィーヴァ伯爵 : ナターレ・デ・カロリス
伯爵夫人 : テオドラ・ゲオルギュー
スザ女(スザンナ) : 小林沙羅
フィガ郎(フィガロ) : 大山大輔
ケルビーノ : マルテン・エンゲルチェズ
マルチェ里奈(マルチェリーナ) : 森山京子
バルト郎(ドン・バルトロ) : 森雅史(5・6月公演)、妻屋秀和(10・11月公演)
走り男(バジリオ) : 牧川修一
狂っちゃ男(クルツィオ) : 三浦大喜
バルバ里奈(バルバリーナ) : コロン・えりか
庭師アントニ男(アントニオ) : 廣川三憲

新国立劇場合唱団
オーケストラ・アンサンブル金沢(5月石川・大阪公演)
兵庫芸術文化センター管弦楽団(6月6,7日兵庫、10日香川公演)
東京交響楽団(6月17日神奈川公演)
読売日本交響楽団(10月24,25日東京公演)
山形オペラ協会合唱団/山形交響楽団(10月29日山形、11月1日宮城公演)
宮崎県立芸術劇場コーラスアンサンブル/九州交響楽団(11月8日宮崎公演)


声楽アンサンブル :
佐藤泰子、宮田早苗、西本会里、増田 弓、新後閑大介、平本英一、千葉裕一、東 玄彦
演劇アンサンブル :
河内大和(5・6月公演)、川原田 樹、菊沢将憲、近藤彩香、佐々木富貴子
佐藤悠玄(10・11月公演)、下司尚実、永田恵実、野口卓磨
チェンバロ、コレペティトゥール : 服部容子

チケット: S¥18,000 A¥12,000 B¥10,000 C¥8,000
演奏会お問い合わせ先: 紘友会本部 072-621-9798

【道義より】

やっとブログを書く気持ちになってきた。
友紘会病院の林豊行先生には僕が病気だった時に(まったく音楽に興味がないほどひどかった時に)多くの日程的、資金的、問題に僕が気が付く事が出来ずに今回の大阪2公演が決まっていったため大変な心労をおかけした。
しかし野田さんのこのオペラへの時間のかけ方、と力の入れ方、また彼を支える役者集団の沢山のアイディア溢れる人たちとの長いワークショップ形式を最大限に使っての、既成のフィガロに全く影響されない,わかりやすくも冒険心とアイディアにあふれた今回の公演・・・特に2回目の31日の結果では、やっとこさ恩返しができたという思いが強く舞台からお礼も申しあげた。アンカナも素敵だった。

人は知らない世界に足を踏み入れるとき、多くの逡巡や、どんな人間もが持ってしまうそれぞれの美観の固定観念がもたらす狭い一面的な見方、等との葛藤は、Figaroを良く知るお客さんにもあるだろう。それは当然出演者にも僕にも林先生にも、何より野田さんにもありました。
しかし今回の13公演の主催者の方々、公的財団、また少なからぬお金を出してくれた文化庁の英断にも支えられ、2015年の「我々」は成功しました。
実はさっきすでに次の公演のためPACオーケストラとの練習を始めた井上ではありましたが・・・・現実には練習中も殆ど廃人状態で一仕事終えたボンクラ指揮者のように、言う事も通り一遍、歩くのもフラフラ。これから10公演もあることに投げやりな気持ちさえ生まれる始末。

でもしかし...無理ないと思いたい。人は人を許すこと、自分をも許すことが出来ないと人生は、ささくれ立ち、神の恩寵を感じることも出来ない。
丁度1年前はベッドで、水も飲めない声も出ない喉と咳で眠れない2週間を経験しを1か月間は何も食べられず10キロ以上痩せて文字通り斎藤先生の亡くなる前のような体になった僕自身が、6キロは取戻し、曲がりなりにもオケや歌い手を引っ張り、野田さんを鼓舞することもやり遂げたんだから。
この企画は「大当たり」だ。
フィガロの結婚を愛しながらも長いと感じたり、わけわからないと思っていたこれを読んでいる人は、虚心坦懐にこの舞台を見にくるべきだ。
野田の自作より面白い(と言ったら野田は多少怒るかもしれないが)たぶん野田や井上が死んでもこの演出は日本で長年再演されていく!

また、カウンターテナーでのケルビーノはこれからは「マスト」になるかもしれない、少年の顔を持ったカウンターテナーにとってはフィガロはドル箱になるかもしれない。

伯爵夫人が強い殺意さえ心の奥に生んでいるという設定は、僕には実は全く分からない嫉妬の世界だが、女性と言うものはこういう気持ちを持つ人がかなりいることは事実だからこれから最後の大円団の場面には多くの演出家が野田の方法を否定することが難しくなるだろう。

どうやらNHKテレビが秋には録画をする予定になっているようだし、フランスの録画会社も興味を持ち始めている。30年前からの野田ファンだった井上はただただ嬉しい。
でもこうなったら俺の体力の問題でもあるが、もう一つ上を目指したくなっている。
丁度良い!野田さん!一回忘れて客観的にもう一度見直してみないか?古典的演出と言われるように。まてよ?こういう保守的な態度が一番嫌いな井上だったはずだ、可笑しい。
大阪のホテルにて。


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「今はショスタコーヴィチは僕自身だ! 」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会at日比谷公会堂」。 日本人指揮者唯一の偉業となる一大プロジェクトをぜひお聴き下さい。

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「僕の人生、音楽だけではないが、正面から指揮をやってきたらこれほどの発見があったことに驚いている!」

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