新日本フィル #635 ジェイド<サントリーホール・シリーズ> 井上道義×新日本フィル 魂のショスタコーヴィチ

2021.07.03
東京都 : サントリーホール 大ホール
午後 2時開演

ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第2番より抜粋
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 Op. 65

新日本フィルハーモニー交響楽団

チケット: S席:8,000円 A席:7,000円 B席:5,500円 C席:4,500円 P席:4,000円
演奏会お問い合わせ先: 新日本フィル・チケットボックス Tel.03-5610-3815

【道義より】

実は8番は余り数多く振ってきていない。
今回喜々として楽譜と以前の日比谷での自分の録音を参考に向き合っている。
むかーし~~むかーし、友人のロシア人バイオリニストボリス・ベルキンに
(80年代ロンドンに居た頃)「MiChiは8番を振らないといけない!」と唐突に
言われ、「ええ?あの長くて暗いのかあ...イヤ~(?_?)何故?」と尋ねたら、
名曲だから!!と言った。
1番9番7番15番ぐらいしかよく知らなかったし、そう、何時か~と思ったのは
もう40年前。それから全曲演奏会までやってしまったMICHIだが、
今また見直しても8番・・・・ショスタコの皮肉さが全曲に満ちていて上手く
それを表現するのはなかなか難しい。特に響きが廻りやすいサントリーホールで。


1楽章はなんとまるで「ついに名曲出現」世間と言われた5番の1楽章にそっくり
な顔で出てくる。そう、あの作品で彼は「成功」し「名誉を得た」8年後、それは
もう遠い過去の回想のように扱っている。
6番で「初心に返って自己の自由を描く普通の交響曲に戻ろう」と心ゆくまで試みた
あと、故郷レニングラード攻防戦を交響曲7番にしなければならなくなり
(幸か不幸かそれを真の反戦の作品として何人にも判るように昇華し)
ドイツが冬将軍に負けてなんとかソヴィエト側はの勝利となるが、まだ戦争が
続いていた時期、1943年、疎開先からモスクワに戻っての作品だ。
5番のように万人向きのわかり易いモノを書いた自分を皮肉っぽく笑い、
生き残っている自分の運命へのレクイエムと、人びとの止むことない勝利への渇望を
距離を持って鳥の目で望むような音楽。
一瞬自分の名前の刻印レミドシ音型も悪戯のように隠されている。

2楽章は対照的に自分から湧き出る素直な生命力の表現。それは隊列や、強力そうな
軍艦などを見たとき誰もが感じる興奮のようなもの。

3楽章はさらに全てを忘れて人びとと同調するときのある種のエクスタシーの音楽。
例えてみれば全ての団体競技、宗教行事、マスゲーム、国家行事、一度進み出すと
抗うことは悪と他者に思われる一種の狂気の乱舞音楽(7番の1楽章も同様)は

そのまま4楽章のパッサカリアへ進む事しか出来ない。

すなわち逃れることが不可能な時代の運命の下に生きなければならない人そのもの
への悲歌か牧歌か賛歌か・・・・それこそ神が彼に描くことを命じた運命だ。

現在の人類を取り巻く不信と不安も、すべてこの楽章に描かれている。
太陽や地球や月は今も何も変わらないで廻っているのに。
人は必ず受け入れねばならない、避けられない死への無意識的な恐れとともに、
常に何かを選ばねばならない自由を逆に苦しんでいたいのだろうか?

作品は疑問符でもって優しく閉じられる。

 



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